俊光と菜子のホントの関係
第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』
「……いいよ。俺もお前とは、兄妹とも恋人とも思うつもりでいるから。
けど今は……兄妹抜きの恋人でいさせて」
「っ、う……うんっ……」
菜子の真っ赤な顔を上に向かせ、目と目をジッと見つめ合わせる。
モチみたいに柔らかい菜子の頬。俺は、それよりも柔らかそうな菜子の唇に、自分の唇をゆっくりと寄せ、
重ね合わせ……
ようとしたら、
突如――ドンドンドンッとした尋常じゃないノック音がしたかと思えば、
その直後――こちらの都合お構い無しに、引き戸がガラーッと無作法に開いた。
唇を重ねようとした俺と、唇を重ねられそうになった菜子は、
「っ、わぁーーーーっ!!」
と、ビックリ仰天して叫び、目にも止まらぬ速さの勢いで離れた。
けど、その勢いが余って、パイプ椅子から大袈裟に転げ落ちてしまい、
「だぁっ!」
「ひゃあっ!」
体が思いっきり床に打ち付けられ、ドターンと大袈裟な音まで立ててしまった。