俊光と菜子のホントの関係
第18章 『三人で合コン』
「ワタシが図書館に来る前に、合コンをドタキャンしておいたのはホント正解だったわ。菜子が抜け出した時『あーこりゃもう戻って来ないわ』って予感したのが、見事に的中したんだもの」
うっ。それも言われちゃうと、タバコよりももっと小さくなっちゃう。
「ホントにごめんね明里ぃ……。面倒かけちゃった上に、明里までドタキャンさせちゃって」
「いいわよ。どっちにしても、ワタシが合コンの途中で、あんたを連れて抜け出すつもりでいたんだから。智樹さんにチョコを渡しに行くためにね」
「えーっ!? そんなことを考えてたのぉ!?」
明里の隠れ計画を聞いたら、ミラーボールに照らされながら熱唱している智樹さんを、もろ邪魔しちゃう勢いで驚いちゃった。
「当たり前でしょ。ワタシはね、あんな晃達(ガキ共)との合コンなんて元々興味なかったのよ。
それに、ワタシ言ったじゃん。『智樹さんにチョコを渡しに行くの付き合ってね』って。
まぁ、あんたはそれすらも忘れてたみたいだけどねー」
「うぅっ。重ね重ねごめんなさぁーい……」
痛いとこをずーっと突っつかれてたら私、米粒ぐらいまで縮んでいって、最終的には消えてなくなっちゃいそうだよぉ。
明里は、チクチクとイヤミを言いながらも、私のしょんぼりを見ては、アゴまでのフワフワボブを小さく揺らして笑っていた。
「ウソ、もういいって。思わぬところで智樹さんに会えて、チョコも渡せてカラオケにも誘われたんだから。返って抜け出してくれて良かったわよ。
それにドタキャンしたの合コン前だったから、ワタシと菜子が開けた二人分の穴を、エリナが急遽別の友達を呼んでくれたことで埋まったしね」
「でも、それでエリナ達三人は怒ってなかったの?」
「そこの辺も心配ナッシングよ。ワタシも、行くと決めてたハズのあんたも、心からノリ気じゃなかったのバレバレだったから。むしろ『しょうがないよねー』って理解を示してくれてたわ」
エリナ達の、海よりも広い心に、思わずジーン……。
エリナ達もホントにごめんねぇ。でもありがとー。ドタキャンした罪は、どこかでちゃんと償うからね!
「さぁ、こっちはこっちで大いに楽しむわよ!」
「うん!」
私は友達への感謝の気持ちを忘れないようにしつつ、ちょうどサビに入った智樹さんを、明里と一緒に盛り上げた。