俊光と菜子のホントの関係
第18章 『三人で合コン』
三人でいいだけ歌ってハシャいでから、注文したお料理でお腹を満足させると、ゆったりくつろぎモードに入った。
「うーん。セーラー服の女子高生二人と合コンなんて、贅沢の極みだよなぁ。思いきって誘って良かった」
向かいの三人掛けのソファーに一人でゆったりと座る智樹さん。上機嫌で話しながら、ジンジャーエールをストローで吸って飲んでいる。
「でも、ビックリしましたよー。いきなり『オレと一緒に合コンすっか!』って誘ってきたから」
私もそう言ってから、オレンジジュースを飲む。
智樹さんから誘われた時は、そばにいた俊光君も『あぁ!?』つって驚いてたもんね。明里だけは大喜びだったけど。
「ホントはオレ、合コンには参加しないタイプなんだけど……セーラー服の女子高生を前にしたら、誘わずにはいられなくなってさ」
軽く物を言ってからハハハッと軽く笑う智樹さんに、私は「智樹さんが合コンに参加しないなんて、意外ですねぇ」と返した。そういえば駅で会った時も、私を妹にしてまで逆ナンをお断りしてたよね。
「オレにも『ここまでならオッケー』ていう線引きがあるんだなぁ、これが」
「へぇー。智樹さんは、何でもかんでもフレンドリーに参加したり誘いに乗ったりするのかと思ってました。
ねぇ、明里?」
私の隣に座る明里に話を振ったけど……
「うん……そぉーねぇー……」
と、おぼろげな返事が返ってきただけ。
明里ってば、智樹さんに見惚れすぎて上の空状態だよぉ。表情で『あぁ……智樹さんのストローになりたい』って言ってるのもバレバレだし。
手元を見れば、持ったままのアイスティーが汗をかいていて、自分の手を思いっきり濡らしちゃっている。なのに本人は、それを拭こうともしない。
明里のこういうところ、ホントにわかりやすいよねー。
私は、上の空・明里からアイスティーをこぼさないように取り、おしぼりで濡れた手を丁寧に拭いてあげた。