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俊光と菜子のホントの関係

第18章 『三人で合コン』


 にしても、ビックリしちゃうぐらいあっという間に時間が経っちゃった。

 智樹さんは合コンと称していたけど、実際はただ三人で、歌ってハシャイで、美味しい料理を食べながら楽しくトークしたりしただけ。だから、普通に遊んだのとなんら変わりない合コンだったよね。

 あ。だけど、明里がここぞとばかりに智樹さんにたくさん質問をしてたの、あれおかしかったなぁ。智樹さんもそこはさすがで、嫌な顔一つしないで、一つ一つ律儀に答えてて。

 その中で、一番印象的な答えだったのが――智樹さんの好きなタイプ。


(そうだなぁ。友達が一人も出来ないぐらい性格キツめだけど、ツンデレ要素もあって萌える、メガネがチャームポイントの超才女……かな?)


 バレンタインチョコが大きな紙袋にパンパンになるぐらいモテモテなのに、彼女がずーっといないのは、その変わり種な理想像が原因なんだろうね、きっと。

 そのツンデレ超才女さんとやらが好きな智樹さんは、エルザイグのヒット曲を魂込めて歌い上げている。明里も、タンバリンをリズミカルに鳴らして、夢中になって盛り上げている。

 この二人のハイテンションについていけなかったり、明里に辱しめられてグッタリもしたけど、私……この合コンのおかげで気が紛れて、考え事ばかりにならなかったよ。

 もし、家で一人で俊光君を『まだかなぁまだかなぁ』ってひたすら待っているだけだったら、時間が経つのがとっても長く感じていたと思う。

 それに、血が繋がってなかったっていう事実のことにも悶々としっぱなしで、お父さんとお母さんにもよそよそしい態度をとっちゃっていたかもしれないもん。

 図書館で、俊光君のぬくもりの中で泣いて不安が取り除けたけど、まだどこか心細くて……。話しきれていない部分もあったから、余計に。

 だから、やっぱり俊光君をサボリ魔にして一緒に帰りたいって気持ちが沸いちゃったんだよね。

 でも、智樹さんが手を差し伸べるように、私と明里を誘ってくれたから……俊光君に負担をかけずに済んで良かった。


『おいこらぁ、天然シスコン兄貴! 早く帰ってこねぇと、大事な妹ちゃんを、明里ちゃんと二人で食っちまうぞーっ!』

「そーだそーだ、食っちまうぞーっ!」

「あははっ。何それー」


 もーう。ホントにこの二人と一緒にいると、くよくよと考えちゃう暇がないよー。


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