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俊光と菜子のホントの関係

第18章 『三人で合コン』



 智樹さんに続いて明里・私と歌い、締めの曲を三人で大合唱。それでも時間が少し余っちゃった。


「今日はセーラー服の女子高生にたっぷりと癒されたから、オレはこれからも当分生きていけるな」


 セーラー服の女子高生で癒されなくてもまだまだ十分生きていけそうな智樹さんが、残りのジンジャエールを飲みあげてから、満足げにそう言った。


「それは何よりですぅ。ワタシは、智樹さんを癒すためにセーラー服の高校に入ったと言っても、過言じゃないですからぁ」


 明里は明里で調子のいいことを言いだすからおかしくて、口に含んでいたオレンジジュースを吹き出しそうになっちゃったよ。


「明里が智樹さんの存在を知ったの、高校に入ってからじゃん」


 ぷぷぷと笑いながらツッコんでも、


「それもそうなんだけど……きっとワタシは無意識に、智樹さんと出会ってセーラー服で癒すってことを予感して、この高校を選んだと思うのよ。うん、そうよ。そうに違いないわっ」


 手をギュッと強く握りしめて、まるで大きな夢でも語るみたいに熱弁する明里。語られた智樹さんは、ニコニコと子供に向けるような笑顔で、うんうんと相づちを打っていた。

 智樹さんにとって私達って、女性的存在というよりも、マスコット的存在だったりするのかも?


「でも菜子は菜子で、俊光さんのことしか考えてなかったもんねー」

「……へぇ?」


 熱弁していた明里が、今度は私の話にするりと変えてきた。


「菜子、入学する前から『俊光君……私のセーラー服姿を見たら、ちょっとは女のコとして意識したりしてくれるかなぁ?』って乙女なこと言っちゃっててさぁー」

「っ、キャーッ、明里のバカぁ! そんなこと智樹さんにバラさないでよぉーっ!」

「うぐっ」


 明里の口を塞いだけど『時すでに遅し』ってヤツで、智樹さんにバッチリ聞かれてしまい、ニヤニヤまでされる始末。

 私、いつまで明里に辱しめられてなきゃいけないのよぉ、もーうっ。


「智樹さんっ! 今の、俊光君には絶対内緒ですからねっ!」

「はいはい、了解了解。……あっとごめん。オレ、ちょっとトイレへ行ってくるな」


 智樹さんがまだクククと笑いながら部屋から出ていったのを見届けると、明里に見せつけるようにぶーたれた。



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