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俊光と菜子のホントの関係

第19章 『二人きりの夜道』


「だから、いいって言っただろ。そこまで気にやむ程バカ高い金額じゃなかったんだからさ」

「ホントにぃ?」

「ホントだって」


 まだ申し訳なさそうにする菜子にいい加減安心してほしくて、俺は笑ってみせたまま頭をポンポンとした。

 折半の提案は、智樹からだった。

 俺が図書館から地元の駅にちょうど着いた時、智樹からNINEで〈店に着いたら、中に入る前にオレに連絡しろ〉と来たから、とりあえず言うとおりにしてみた。そしたらアイツは、出入り口まで出迎えてくるなり、俺の肩に手を置き真顔を作ると、開口一番に――

(俊光よ。二匹の可愛い子猫ちゃんのためだ。黙って半分払え)

 ……なんて言うんだもんな。

 まぁ別に、二匹……もとい、二人のために払うのは全然構わないと思った。俺も少しぐらいは払おうかという考えも、元々あったし。だから、素直に折半にのったんだけどさ。

 しかし、バカ高い金額じゃなかったとはいえ、ルーム料と飲み放題込みにしても二万円近くいくって。スゲーな。たった三人でどんだけ食ったんだよ。逆に感心してしまったぞ。

 まぁ……考えたら無理もない話か。食い盛りの女子高生二人(特に『菜子が』だな)に加え、ここぞとばかりに痩せの大食いを発揮する智樹の三人だから。


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