俊光と菜子のホントの関係
第19章 『二人きりの夜道』
昔から変わらない菜子のほんわかした温かさが、絡ませた指から伝わってくる。俺の熱と心拍数を、じわじわと上げられていく。
ヤバい。自分から繋いだクセに……図書館ではもっと菜子に触れてたクセに……前にドキドキさせられた以上に、異常にバクバクしだしてる。
「い……嫌か?」
「ううんっ。まさか、全然だよぉ」
バクバクの紛らわしから、つい怖じ気づいたように訊いてしまう俺なのに、菜子は愛くるしい童顔を小刻みに横に振ってくれ、
「私もね、ホントはずっと……繋ぎたいなぁって思ってたの。だから、俊光君から繋いでくれて嬉しい。えへへー」
「……っ」
胸を貫くセリフまで、無邪気に付け加えてくれた。
はぁー……。なんかもう俺……妹にドキドキバクバクさせられてばかりの情けない兄でもいいやって思えてきた。
「じゃあ……行こうか」
「うん」
内心バクバクしたまま、それでも菜子を離さないまま、立ち止まっていた帰路を再び歩きだした。