俊光と菜子のホントの関係
第19章 『二人きりの夜道』
「ごめんな、菜子」
「ふーんだ。どうせ私のキス顔はタコですよぉーっだっ」
「……そうやって拗ねていても、繋いでいる手は離そうとしないんだな」
「なぁっ……!」
あ。今のはスゲー余計だろ。しかも笑いながら言ったし。俺って全然反省してねぇのな。
「こっ、これはっ……俊光君が強く握ってるから離せないだけなのっ! もーう、ホントに知らないっ! キスもしてあげないんだからねっ!」
「さすがに無神経が過ぎた。ホントにごめんって」
「って謝ってもまだ笑ってるしぃっ!」
あーあ。コイツってホントに可愛い妹で……可愛い恋人だよな。
「えっ。な、何よぉっ……」
急に頬を触れられて戸惑いを見せる菜子を、俺はジッと見つめたまま、自分の顔をゆっくりと寄せていく。
「とっ……俊光く――」
今度はそれぞれの親友に乱入されることなく、近所の夜道で、キレイな満月に見守られながら――
愛おしく想う気持ちを唇に込めて、菜子に重ねた。
「んっ……」
「っ……」
唇が合わさった瞬間、菜子が息を飲んだのがわかった。俺も、一瞬自分の息が止まったのがわかった。
菜子……。
唇も恋人繋ぎも離れないように、もっと菜子にくっついた。