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俊光と菜子のホントの関係

第20章 『大好きだから……』


 はっ、いけないっ。マグカップを抱きしめたまま思いっきりゴロゴロしちゃった。

 このイエローのマグカップは、原宿の雑貨屋さんで俊光君に選んでもらった物なんだから大事にしなきゃなのに。と買った時のことを思い出したら、またマグカップをギュッと抱きしめたくなっちゃった。

 あの時は、買い物があまり好きじゃない俊光君に、私が事あるごとに『どれがいい?』『どっちが好み?』って訊きまくって、ちょっとうんざりさせちゃったんだっけ。

 だからこのマグカップの色も、場を早く切り上げたくて、ヤケクソか何かでテキトーに選んだのかもしれないね。……って思いながらも、買ったあとにイエローを選んだ理由を俊光君に尋ねてみたんだよね。したら――


(イエローの方が、お前にピッタリだなって思ったんだよ。菜子って名前も、黄色い『菜の花』が由来だし、色的に無邪気で愛らしいイメージもあったから……それで)


 なんてことを、若干照れを見せながら話す俊光君に、私すっごく胸キュンしちゃって。

 それからこのマグカップを使う度に、人知れずあの時のキュンを思い出していたりするんだー。

 えへへ。お風呂からあがったばかりの時よりも、俊光君とのあれこれを考えている今の方が、体がほてってきちゃう。



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