俊光と菜子のホントの関係
第20章 『大好きだから……』
「わぁっ!」
「どっひゃあーっ!!」
いきなり後ろから肩を掴まれたぁ! とんでもなくビックリして心臓がドッキーン! 体ごとソファーから飛び上がっちゃった。とんでもなくビックリしても、マグカップはしっかりと持っていたから、落としてガッチャーンは避けれた。はぁ、良かったぁ。
ドックンバックンしながら振り返ると、寝巻き姿のお母さんがすごく満足そうに笑って立っていた。
「ふふふっ、ビックリした?」
「お母さぁーん。見てのとおりビックリしすぎて、心臓が大爆発事件を起こしちゃったよぉー」
あと、お腹の底からビックリ声を出したから、ホントに飲んだオレンジジュースをリバースしちゃうかと思ったよぉ。
それなのにお母さんは、まだドックンバックンしている私を見ては、ますます笑ってくる。
「やだぁ、大袈裟ねー」
「大袈裟にもなるってば。一人だと思ってたところに、そんなドッキリするんだから。それにお母さん、もうおやすみなさいをしたんじゃなかったの?」
「トイレに行きたくなって目が覚めたのよ。あんたは? もうお風呂入ったんでしょ。まだ寝ないの?」
「あ……うん。そのぉー……俊光君ともう少しお話がしたくて。それでお風呂から出てくるのを待ってるの」
「あら、そうなのね」
私は手に持っていたマグカップを、テーブルの上にそうっと置いた。
いつもだったら当たり前にすんなり言えてたハズのセリフも、今日だけはなんだか意識しちゃう。だけどお母さんは、いつもと違う私の心境を感じ取ることもなく、当たり前に左隣にぽすっと座った。
「ふーん……」
「え、なぁに?」
お母さん、今度は意味深な含み笑いをしてくる。
「なんだかんだで菜子はやっぱり……俊光が好きなのねぇー」
「へぇっ!?」
いけない! 顔がボッと熱くなっちゃった!
バレたくなくて、お母さんから顔を反らした。