俊光と菜子のホントの関係
第20章 『大好きだから……』
私のホントのお母さんが、どんな人だったかもわからないし、何で私とお父さんから離れていっちゃったのかもわからないけど……。お父さんが次に一緒になった人が今のお母さんで、ホントに良かったって思える。
私と俊光君が『ただいまー』って帰って来る度に、お父さんと一緒に『おかえりー』ってあたたかく迎え入れてくれる、今のお母さんが私は――
「……あのね、お母さん」
「ん?」
「お母さんがさっき言ってたとおり……私、俊光君が好きだよ。
だけどね、お父さんのことも好きだし……お母さんのことだって、大好きなんだからねっ」
お母さんの目を真っ直ぐに見つめて想いを伝えた。
兄妹の事実を打ち明けられても、私と俊光君のもう一つのホントの関係を打ち明けても、その先もずっと家族でいたいよ。
今のお母さんが私は――大好きだから……。
「菜子ったら、お母さんにそんなこと言っていいの? 一生子離れしてあげないわよ」
「うん、いいよっ。私もずぅーっと親離れしてあげないから!」
「おーおー言ってくれるじゃないのー、このぉー」
「うぷっ! な、なにふんのよぉーっ」
お母さんが私の顔を両手でサンドイッチ。んで、そのままぐりぐりとなで回して遊びだす。
「うりうりー、ブサイクー」
「もーひどーい」
でも、お母さんの優しい手のぬくもりから離れたくなくて、私はブサイクになってもされるがままでいた。