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俊光と菜子のホントの関係

第21章 『大事にしたい。なのに……』


「あーっと、これっ。このお前、おっかしいよなー」

「へぇ……?」


 俺がわざとらしく笑いながら指を差したのは、菜子の二歳の誕生日の写真。紙で出来た王冠を被った菜子が、ケーキではなく、小さな手にそぐわない大きなおにぎりを二つ、両手に持ちながら、美味しそうに幸せそうに頬張っている。動物的な食い方をしているから、手にはもちろん、顔にもご飯粒がまんべんなく付いている。誕生日でせっかくおめかしをしているのに、その服にもポツポツとある。


「この頃からすでに食い意地張ってるってわかるよな」

「もうっ、またそうやって人のことを笑うー」


 憎まれ口を叩くと、菜子は例の如くモチみたいに膨れた。

 とにかく、今はそっちに意識しすぎるのはやめよう。

 家での菜子は、妹だ。家族だ。その事に気持ちを専念しよう。


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