俊光と菜子のホントの関係
第3章 番外編『オレと俊光』
「ミナちゃん! こんなところにいたのねー」
「あー、おかあーさーん!」
噂をすれば、母親登場。
母親が駆け寄るなり女の子を抱き上げる。女の子はより笑顔になって、母親の首に抱きついた。
「どうもすみませーん。ありがとうございますー」
「いえ、俺は何も……」
「おにーちゃん、ありがとー」
「ははっ。良かったなー、お母さんに会えて。もうはぐれたらダメだぞ」
「うん!」
「にしても……可愛い娘さんですね。きっと、お母さんに似たんでしょうね」
……あぁ? なんだアイツ! さらっと口説いたし!
あーあ。あの母親、アイツに見惚れちゃってるぞ。
マジでアイツ、ヤバいヤツだな。
「…………あのぉー、何かお礼をー……」
見惚れたままの母親が、イケメン野郎を誘いだした。
「いや、俺はこれから入学式なので……」
「では、せめて名前を……あ、連絡先とか……」
「いやいやっ、本当にいいのでっ。大した事してないですしっ」
ん? アイツ……口説いておきながら、本気で断ろうと必死になってる?
もしかして……天然ってヤツ?
イケメンで天然。モテまくろうとしているオレからしたら、マジで敵じゃん。
だけど――悪いヤツではなさそうだな。
オレはあの天然イケメン野郎に、興味が湧きだした。