俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
「……次また騒いで睡眠を妨害したら、正座でお説教の刑だから。いいわね?」
「…………」
「わかったら返事なさいっ!」
「はっ、はいぃっ!」
母さんが最後に、強い雷をピシャンと落としたことにより、俺達にかかっていた金縛りの術が解かれた。そんな冗談はさておき、ハッとしてやっと動けるようになった俺と菜子は、慌てて姿勢を正して返事をした。
「お父さんは鈍感だから、呑気にグースカと寝ていられてるけど、お母さんは超デリケートなんだからっ。まったく、仕事で疲れてるって言ってんのに、なんて親想いに欠けた子達なのかしらっ」
俺達に怒鳴り声を浴びせた、(自称)超デリケートな母さんは、そんなことをぶつくさと言いながらドアを荒々しく閉め、隣の部屋へと戻っていった。
あの状況を見られた羞恥心で萎縮していたから、母さんの怒りの度合いが、いつもよりも数倍増しに感じた。
ひとまずバレなかったのは良かったけど……さすがにマジで、いろいろ怖かったぞ。