俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
……ところで、だ。
一緒に姿勢よく座っていたハズの菜子は――
いつの間にか、俺の方に尻を向けてベッドに寝そべり、枕で頭をしっかりと隠している状態に。
図書館に引き続き、またそのパターンかよ。
「おいコラ、菜子」
「は……はい?」
「お前、『カーテンオバケ』の次は『枕オバケ』かよ。それとも、『頭隠して尻隠さず』って言葉の見本を、俺に見せているのか?」
「だ、だってぇー……お母さんの乱入でトーンダウンしちゃったら、自分のしていたことが急激に恥ずかしくなってきちゃったんだもん」
出た。
「お前なぁっ。人のことを無邪気に散々煽っておいて、『恥ずかしくなってきちゃった』だぁ? それだけで事が片付けられると思ったら大間違いなんだよっ。俺がずっと我慢してきたものを、お前は平気で『えいやぁーっ!』って壊そうとしたんだぞっ」
「わぁーんっ。だってだって、俊光君がぁーっ」
ムカついて言ってやると、菜子は駄々っ子みたいに足をバタつかせながら、泣いているような声を出してきた。
んなことしたって、今の俺には『容赦する』とかないからな。何か仕返してやんないと気が済まないんだよっ。
「ふんっ!」
「うひゃあっ!」
俺は、寝そべっている菜子を、ちゃぶ台をひっくり返すみたいに勢いよく転がして仰向けにし、再び『頭隠して尻隠さず』をさせないように押さえつけるべく、上に覆い被さった。