俊光と菜子のホントの関係
第22章 『真夜中のオーマイガー』
「……菜子?」
「は、はひっ……」
「なんか顔がガチガチに強張ってるけど。もしかして、怖いんじゃ……」
いけないっ。俊光君を不安にさせちゃうっ。
「ぜっ、全然全然っ。ちょっと(ホントは『かなり』だけど)緊張しちゃってるだけで、怖いことなんか絶対にないよっ。
私は、俊光君が大好きなんだからっ」
首を全力で横に振りながら伝えたら……
「……うん。俺も」
わ……わぁわぁわぁわぁーーーーっ!
私の『大好き』に対して、『俺も』だってーっ!
きゃーっきゃーっどうしよーっ! いいムードで聞く『俺も』は格別だよぉー!
脳内で大騒ぎしていたら、急にお鼻がムズッときて、
「っ、へぇっぶしゅんっ!」
変なクシャミを発射。
瞬間的に手で押さえたから、俊光君のカッコいい顔にかからなくてセーフだった。でも、『へぇっぶしゅんっ!』って……。うわーんやだぁー。コントで大きなタライが落ちてきちゃうようなクシャミしちゃったよぉ。
さすがにタライは落ちてこなかったけど、俊光君に「ぷっ」て笑われちゃった。もーせっかくいいムードだったのに。私のお鼻の、どバカァー。
「……あ、そうか。布団なしじゃあ寒いよな」
「へ? あ……そう、かも」
言われてみると、確かにちょっと寒いかも。暖房はつけてるけど。
「なら、布団を被るか」
「へぇ?」
「よいしょっ……と」
俊光君が、足元で三つ折りして置いてある掛け布団を、二人まとめて覆うようにかけた瞬間、
「ーーーーっ!」
頭がボンッと爆発した。
なっ、にっ、ぬっ、ねっ……のっうわぁーーーーっ!!
一緒に布団に入って寝るなんて、小さい頃からよくしていたハズなのにぃっ……。オーマイガー目的だと、ものすんごく恥んずかしいぃーっ!
「これで寒くないだろ?」
私は興奮マックスで、うんともすんとも言えない代わりに、ロックバンドのファンみたいに、全力で首を縦にぶんぶん振りまくって答えた。
俊光君。寒くないどころか、むしろ熱々で。今は二月のハズなのに、八月並の暑さだよ。
私、こんなんで最後までオーマイガー出来るのかなぁ……? 自分が心配になっちゃうよ。