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俊光と菜子のホントの関係

第22章 『真夜中のオーマイガー』


 熱々のお布団の中で、再び俊光君と唇を合わせていると……ふと思い出した。

 キスの真っ只中だけど、この真夏みたいな暑さを一旦クールダウンしたくて話を振ろうとした。じゃないと私、熱が上がりきって、途中でくたばっちゃいそうなんだもん。


「ねぇねぇ、俊光君。そういえば帰り道でキスした時ね、俊光君から甘いチョコレートみたいな味がしたんだよ」

「え……? あぁ。たぶんそれ……電車を待ってる間、駅のホームで、お前から貰ったチョコを食ったからだと思う」

「私のチョコ、食べてくれたんだぁ」

「そりゃあ、お前から貰った物は食うだろ。だけど、感想を言うの忘れてた。
 ありがとな。あれ、すげー美味しかったよ」

「良かったぁー」


 美形の顔で照れ臭そうに笑みを浮かべる俊光君が、わずか数センチの距離で見れちゃうなんて。兄(本命)チョコのために、お札の野口さんを二人分サヨナラした甲斐があったよー。


「お前は、オレンジジュースみたいな味がした」

「そう。まさに、カラオケでオレンジジュースを飲んだから」

「でも、今はお互い……シトラスミントの味だよな。爽やかな酸味に、すぅーっとした清々しい味」

「そうだね。私の部屋に行く前に歯磨きしたしね」


 歯磨き粉は、家族全員でその味の物を使っているんだよね。てことは、お父さんとお母さんもキスをしたら、私と俊光君みたいに『シトラスミントの味がするね』って交わして照れ照れするのかなぁ……なんて。


「……なぁ、菜子……」

「ん、なぁに?」


 俊光君が、改まった様子で私を呼ぶ。


「あのさ……口……開けてくれるか?」

「へぇ、口……?」


 何で口を開けるんだろう?

 理由を訊く前に、ちょっとだけ自分で「うーん……」と考えたら、すぐにピーンと来た。

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