俊光と菜子のホントの関係
第22章 『真夜中のオーマイガー』
お母さんのお説教なんて、今に始まったことじゃないんだけど……今回のは、とんでもなくスゴい。歴代のナンバーワンかもしれない。
いかにも『私達、反省してますっ!』という面持ちで正座をする私と俊光君に向かって、
お母さんは、圧をかける仁王立ちで、とにかく早口で、やたら大声で、
「親不孝者っ!」とか、「騒音兄妹っ!」とか、
「俊光ぅっ! あんた三つも上のお兄ちゃんのクセに、菜子と同レベルになってどうすんのっ!」とか、
「菜子も女の子なんだからっ、もうちょっとしおらしくしなさいよっ!」とか。
たまに「親の顔が見てみたいわっ!」って自分のことを言っちゃったりもしているのに、そのままスルーで。
ずっとそんな調子で、ギャーギャーワーワー喚く喚く。逆に、気でも狂っちゃったのかなと心配しちゃう。そして、『よくそんなに言うことがあるよねー』なんて、ちょぴっとだけ感心しちゃったりもして。
けど、そのうちに……痺れの波がどんどん足にやってくると、感覚のへったくれもなくなってからっ……。
ううーっ。耳も足も、もう限界中の限界だよぉーっ!
プルプルと全身を震わせながらも、右隣の俊光君を目だけでチラッと見てみる。一見平然としているように見えるけど、美形の顔には脂汗っぽいのがうっすら浮かんでいる。きっと、俊光君も限界中の限界なんだろうね。
でも、ここで正座を崩したりでもしたら、お説教延長戦、間違いなし。だから俊光君も何とか耐えてるんだ。
でもでもっ、私……もうっダメッ。俊光君、延長戦ごめんなさーいっ――
「ちょっと! 勝治さんも黙ってないで、何か言ってやってよっ!」
「じゃあ、一言だけ……。美都子。始まった時からずーっと思ってたんだけど……お前が一番うるさいぞ」
「なぁっ……!」
呑気なお父さんのさりげない一言のおかげで、正座でお説教の刑がピタリと終了。
あっ……ありがとぉー、お父さぁーん。うるうる……。
でもね? 始まった時から思っていたのなら、もっと早く言ってほしかったよぉー……。