俊光と菜子のホントの関係
第22章 『真夜中のオーマイガー』
お父さんと、鬼から元に戻ったお母さんが部屋から出ていくと、私と俊光君は一気に姿勢を崩した。
やっと解放されたけど、足はすでに死んじゃっている。
「俺、しばらく1ミリも動けねぇ……」
「うん。右に同じく……」
はぁーあ。ホントに、いろんな意味で『オーマイガーッ』だったよぉ……。
記憶の中で、私の『いいっっだああああああああいっ!!!』から、お母さん(鬼)登場までを、ダイジェストで振り返ってみた。したら、何とも言えない悲しみが心を襲い、
「うっ……ぐすっ……どじみづぐーん、ごべんなざーい」
「なっ、菜子っ?」
あっという間に涙腺が大崩壊しちゃった。
「せっかく、せっかく、二人でオーマイガーしようとしたのに……私が恋人になりきれなかったばかりに、俊光君のカッコいい顔に怪我させて、鬼まで呼び寄せちゃって……」
いつまでも『子供みたい』から抜け出せない自分が不甲斐なくて、つくづく嫌になっちゃうよ……。
思えば思うほど悲しい気持ちはどんどん膨らみ、胸を押し潰してくる。頬っぺたをいっぱい濡らしていく涙も、ヒクヒクとしゃくり上げる声も、自分では止めることが出来なくなっちゃっていた。
だけど……優しい温もりが、頭のてっぺんに乗っかってきたのを感じると、ウソみたいにパタリとやんだ。
乗っかったのが何かは、見ないでもわかる。昔から大好きな温もりだから。
それでも、ちゃんと見たくて、ハッキリと知りたくて、俯いていた顔を上げてみると……やっぱりだった。
まだ足が痺れていて動けない俊光君が、私の方に手を伸ばして、頭を撫でてくれている。
温もりだけじゃなくて、私を見つめる眼差しも優しい。