俊光と菜子のホントの関係
第23章 そして翌日――
「まっ、何がともあれ……良かったじゃん。両想いになれて。菜子ちゃんもさ、カラオケでも相当嬉しそうにしてたんだぞ」
智樹が、ヘコみがちな俺をフォローするように口を開いた。
相当嬉しそうにしてた……。そうだったんだ。
それを聞くと、家で別れたばかりの菜子に、もう会いたくなってしまう。
「んで? しばらくの間、両親にも内緒にしておくんだったっけ。したらオレもバレないように、調子を合わせるからな」
「智樹……。いつもありがとな」
「なーに、いいってことよー。
オレはいつでも、お前達兄妹の味方なんだからよっ」
智樹は、よく有りがちなムズ痒いセリフを、シシシと歯を見せて笑いながら軽く言った。
智樹のこういう、押し付けがましくしない姿勢は、居心地が良くて気が休まる。
「その代わり……菜子ちゃんとのセックスの内容、もっと詳しく聞かせろよ」
「っ、はぁっ!?」
『その代わり』って何だよっ。たった今、友情の有り難みを噛み締めていたばかりだったのに、途端に台無しかよっ。
「どうだったんだ? よがる菜子ちゃん、可愛かっただろ。『いやん、俊光くぅん。そんなにグチュグチュしちゃダメん。菜子イッちゃう』てか」
「エグいモノマネすんなっ。そもそも、菜子をグチュグチュしてイカそうとすることも忘れてたからっ」
と、ツッコミ方を間違えて墓穴を掘ってしまうと、案の定、智樹に腹を抱えて笑われた。
補足。智樹のこういうところだけは、居心地が悪くて気が休まらない。