俊光と菜子のホントの関係
第23章 そして翌日――
――高校に着くなり、私は明里を廊下の隅に誘い、
『俊光君と深夜に初オーマイガー(未遂)』
したことを報告したんだー。
続々と登校してくるみんなに聞かれないように、コソコソと。
朝っぱらから濃いめのお話をするのもどうかなーとは思ったけれど、私のあれやこれやを知ってくれている明里には、是非ともすぐに報告したかったの。
明里は、俊光君とのことにどビックリしつつも、話をちゃんと最後まで聞いてくれた。
「はぁー、なるほどねぇー。要は、俊光さんをそそのかした……ってワケだ」
「やだなぁ明里。『そそのかした』だなんて人聞き悪いよー。でも……そう、とも言うよね。最初に馬乗りして迫ったのは、私だから。えへへー……」
と、頭の後ろを掻きながら誤魔化し笑い。明里はそんな私に呆れちゃったのか、砂糖菓子みたいな甘い顔をしょっぱそうにしかめた。
「あんたってコはー……。恋人同士になってからまだ数時間しか経っていなかったのに、いきなりエッチしようとするなんて。菜子の俊光さんラブの強さには、ホント脱帽もんだわー。
まぁ、あの俊光さんなら、すぐにしたいって思うのも無理ないかもねー。性格いいし、結構イケメンだし……
あーこの会話、久々にしたわ」
「だけど……俊光君には、ホントに悪いことしちゃったよ」
「そうね。俊光さん、かなり気の毒だわ」
家で別れたばかりの俊光君の、あの痛々しい顔をちょこっと思い浮かべただけでも、胸がチクチクと痛んじゃう。
「エッチって、初めての時は痛いってのはよく聞くけどさ。菜子に入ったのって、体感的にわずか数センチだけだったんでしょ? それでも、叫んだり、俊光さんを蹴り飛ばしたりしちゃうぐらい、痛かったんだ?」
「痛いってもんじゃなかったよー。ホントに裂けちゃったんじゃないかと思って私、何回もお股の安否を確認したもん」
「つまり……菜子にとっても、俊光さんにとっても、いろんな意味で『オーマイガーッ!』だった……ってことね」
「さすが明里。ご名答だよー」