俊光と菜子のホントの関係
第23章 そして翌日――
「俺だって……お前とオーマイガーのやり直しをしたいって思ってるよ」
「ホントにぃ? ホントにホント?
『コイツ蹴り落とすから、もうやだ』とか思ってないの?」
「んなこと思ってないって」
腕を引っ張ってしつこく疑う菜子が可愛くて、うっとうしいどころか心が綻ぶ。そして、菜子語である『オーマイガー』を、いつの間にか俺も当たり前に使っていることに気づいた。
「けどやっぱり……1ヶ月の禁止令が出されていなくても、やり直しは完全に二人きりの時に、気兼ねなくしような。じゃないと、俺がまた焦って見失って、お前に痛い思いをさせるかもしれないから」
「俊光君……」
「また不意に昨日みたいなことになったら、再び母さんが鬼になって飛んできて、もっと重い刑罰を受けるハメになるかもしれないだろ?」
「うっ……確かに。リアルにあり得るから怖ーい」
恐ろしそうに体をゾワゾワさせる菜子の素直なリアクションに、笑いが溢れた。
そうだよな。俺と菜子の、もう一つのホントの関係は、まだ始まったばかりだもんな。無理矢理早く繋がろうとするんじゃなくて、ゆっくりと二人の関係を育みながら、想いを重ね合わせながら、大事に繋がりたい。
また『大事大事ばっか』って言われそうだけど……父さんと母さんにも内緒にしている分、家族にとってもかけがえのない菜子のことを、ちゃんと大事にしていきたい。