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俊光と菜子のホントの関係

第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』


 *


「わぁー、ついに来ちゃった!」


 人気の観光地、古都・鎌倉!

 俊光君と電車に揺られているだけでもすでに楽しくて、一時間半の乗車時間があっという間に過ぎちゃった。

 ゴールのテープを切るように改札を抜ける。初めて味わう鎌倉の空気感に、ますますテンションが上がっちゃう。

 天気も、今日一日ずっと晴れの予報だったし。まさにデート日和だね!

 ワクワクが止まらなくて、駅前を無駄にキョロキョロと見回していたら、すぐそばに、鎌倉の食べ歩きスポットで有名な通りが目についた。

 通りの入り口手前まで来てみると……平日で、しかもまだ早い時間帯なのに、もうすでに多くの人達で賑わってるよ。平日でこれなら、休日なんて、ぎゅうぎゅう詰めのおしくらまんじゅう状態なんじゃない? そう考えると、私も俊光君も学校がお休み期間中で、平日に来れて良かったと思えた。


「お前、朝からテンション高いって」


 鎌倉に着いてから、ハシャグ私のあとを黙って付いてきていた俊光君が、ここでやっと話しかけてきた。


「そりゃあそうだよ。一度来てみたかった場所に、俊光君と来れたんだもん。テンションもアゲアゲだよぉー」

「それはそれは何よりで。こっちはどっかの誰かに、しなくてもいい早起きを無理矢理させられたってのに……ふぁーあ……」


 俊光君、着いたというのにまだ眠そう。電車の中でも、うつらうつらしていたし。

 それもそのはずってヤツで。私が、ハリキリにハリキッて、朝に弱い俊光君を、早朝レベルの四時に叩き起こしちゃったからね。えへへ。


「俊光君、ごめんなさーい。でもね、デートは朝起きた時から始まって、家に帰り着くまでがデートなんだよ。だから少しでも早く起きたら、その分長くデートが出来るかなって思って」

「…………」

「ひゃっ……」


 俊光君が、私の頭を軽くポンポンとしてきた。


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