テキストサイズ

俊光と菜子のホントの関係

第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』



 ――ローカル線の電車、おしまいまで着いちゃった……。

 改札を抜けて、俊光君のあとを付いていくがままに歩いていくと、駅の外へ出た。

 今までずっと、のどかな町の中を歩き回っていたから、駅ビルやファッションビルやビッグな電気屋さんがあるのをちょっと見ただけで、『ただいま都会に戻ってきました!』って感じがしちゃう。

 お空も、夕焼け小焼けで日が暮れそうだよ。


「楽しかったな」

「うん、すっごく!」


 って、つい元気に返事しちゃった。

 大好きな俊光君と、いつもと違う場所で過ごした時間は、想像以上に楽しすぎてあっという間だったもんね。


「良かった。じゃあ……ここからまた快速線に乗り換えるとするか」

「あ……うん」


 なんと無しに言う俊光君に、胸の奥がきゅうっとした。

 ……乗り換えて家に帰ったら、デートはもうおしまいかぁ。

 俊光君と両想いにもなってから、初めてのデート。

 遅ればせながらも俊光君が、私のお誕生日のお祝いを兼ねてと誘ってくれた、日帰り小旅行デート。

 ホントに、ホントに、すごく楽しかっ――


「っ……?」


 あれ? あれあれ?

 何で私……泣いてるの?


ストーリーメニュー

TOPTOPへ