俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
そりゃあもちろん、思いっきり二人(兄妹)だけの時間を楽しみたいと言ったのは、誤魔化しじゃなくて本当のことだけど。
それとは別に、俺はこの一泊を利用して――菜子とより深く繋がろうとしている。
まだやり直しが出来ていない『オーマイガー』を、したいと考えている。
だから、余計に痛い。
「俊光、どうした。罪に苛まれているような苦い表情をしたりして。胸でも苦しいのか?」
「えっ!?」
思わず身体が飛び上がってしまった。『超』が付く程ど鈍い父さんにしては、かなり鋭いツッコミだったから、ビックリする。
「いやっ、その……もしアイツがさ、『やだぁっ、家に帰りたいっ!』って駄々をこねたら、せっかくの計画が台無しになるよなーってネガティブに考えちゃって……」
とっさの嘘が、口を衝いて出た。
「あらやだ、それはないでしょー。菜子は驚異の兄ラブなんだから。ねぇ、勝治さん?」
「あぁ。妬けるけど、美都子の言うとおりだな」
「は……あはは……」
とうとう、まともに目を合わせられなくなってしまった。
せめてもの償いとして、父さんへのお土産は奮発しよう。