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俊光と菜子のホントの関係

第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』


 *


 案内された部屋に着き、ようやく二人きりになったところで、俺は数日前のことを思い返しながら、菜子にネタばらしをした。

 その結果――


「もーうっ、俊光君のバカバカバカぁーっ!」


 菜子のプンスカポカスカ攻撃が始まった。

 けど相変わらず、全然痛くない。相変わらず、逆にくすぐったいだけだ。


「まぁまぁ、そんな怒るなって」

「怒るなって方が無理だってばぁ! どこかに置き去りにされちゃうんじゃないかと思って、移動中ずーっと不安だったんだからぁっ!」


 お前を置き去りになんかするわけないだろ。どんだけ酷いんだよ、俺は。


「それに、お泊まりに行くなら行くで、最初からちゃんと言ってよぉっ! お着替えとかなーんも用意してないのにぃ!」

「最初から言っちゃったら、サプライズにならないだろう。そのために俺は、バッグをパツパツに太らしてまで、お前の分の着替えも持ってきたんだから」

「ふぇっ!?」


 ここでやっと、『めえめえ』で指摘された怪しいトートバッグのことも打ち明けて、取り出した。


「ほらよ。この袋の中に、全部まとめて入ってるハズだ」

「えぇーっ!? やだぁ、ウソでしょー!?」


 菜子は差し出された袋を、引ったくるようにして慌ただしく取ると、俺に背を向けて、中身をゴソゴソとチェックしだした。


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