俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
「ほ……ホントだぁ。お洋服と洗面道具だけでなく、下着までちゃんと入ってる」
「な?」
「いやいやっ、俊光君! にこやかに『な?』じゃないよ! これらを俊光君が持ってきたってことは、私の部屋に、抜き足差し足忍び足して、コッソリ抜き取ったってことでしょっ!? ぶ、ブラとショーツも、律儀に上下セットで揃えてくれちゃってっ!」
さては菜子のヤツ……俺に下着泥棒の容疑をかけているな?
「あのなぁ、誤解すんなよ。いくら俺が兄だからと言って、年頃の妹の服や下着まで勝手に漁ったりしねぇって。それはな、母さんが用意してくれたんだ。袋の中身だって、一切覗いたりしてないからなっ」
そこはちゃんと強調して無実を主張させてもらうぞ。
「じゃあ俊光君は、二人分の着替えを、朝からずーっと肩にかけて持ったまま、観光してたってことじゃん」
「まぁ、そういうことだな。あ、でも気にすんなよ。見た目ほど重くはなかったんだから」
肩が少し凝った程度だ……ということは、自分の中で留めておこう。
「けど、サプライズとはいえ、そこまで不安にさせていたのなら、悪かったな」
「ホントだよぉ。私、俊光君に強引に振り回されて、なんだか疲れちゃった」
菜子ばっかり俺を振り回していると思っていたけれど、俺も大概なんだな。