俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
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「見て見てー、俊光君!」
規則正しいお下げをした菜子が、真新しい制服に着替えてきた。
そうだった、女子は黒いボレロの制服だったよな。ついこの間まで俺もこの中学に通っていたのに、もうすでに懐かしく感じている。
今日から菜子は中学生。俺も明日から高校生か……。
「ねぇー俊光君ってばぁー、どーおっ?」
何もコメントをしない俺に痺れを切らし、再度強調して問いかけてくる。しょうがねぇなー。
「はいはい。似合う似合う」
「えっへっへーん! でっしょう? 可愛い?」
「おう、可愛い可愛い」
「わーい、やったぁ!」
ぷっ、無邪気だなぁ。テキトーな答えでもすごい嬉しそう。ま、本当に可愛いと思ってるけど。
菜子のヤツ、小さい頃から顔そのまんまで、体だけ大きくなったみたいな。そんなんだから、高校生になっても、大人になっても、ずーっとこのまんまで行きそう……
なーんて言ったら、菜子怒るかも。黙っとこ。