テキストサイズ

俊光と菜子のホントの関係

第2章 『俺と菜子』


「本当、早いものよねぇー。子供の成長って」


 スーツ姿の母さんが、感慨深くして言った。


「そうだな。いやー、お父さんもお母さんも歳を取るはずだよ」


 父さんもネクタイを締めながら、リビングに入ってきた。


「父さんは50で、母さんは今年46だっけ。確かに歳取ったな」

「俊光ー。お前ちょっとは否定してくれよ。『まだまだ若いじゃん』とかさ」


 父さんと母さんは、年を重ねているわりには、若い方だと思う。

 息子の俺が褒めるのもなんだけど。父さんは、昔から変わらずスタイルがスラッとしていて凛々しいままだ。母さんだって、整った顔立ちをキレイにキープしつづけている。

 けど、あえてそう褒めずに「無理。俺、正直だから」と憎まれ口を叩いた。


「はいはい。いい息子に育ったもんだ」


 父さんはいじけ気味に言い、そばで聞いてた菜子と母さんがクスクス笑い出す。

 たくっ。朝から和やかだよなぁ、俺達家族って……。


 そうだよ。血が繋がっていなくたって、俺達は家族なんだ。


 父さん、母さん。時間かかったけど、俺はあの真実をちゃんと受け入れた。


 受け入れても、俺は変わらず父さんの子だと思ってるし、

 菜子のことだって、変わらず可愛い妹だと思ってる。


 菜子が高校卒業してから……だったよな。二人からあの事実を打ち明けられるのは。


 だからその日が来るまで、俺は知らないフリをして、菜子にも言わないようにする。


 だから……安心しろよ。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ