俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
「いいわよ、もう。削ぎ落とした分も入れちゃうから。
ほーらっ。元気出しなさい。慰めに可愛い服も買ってあげたでしょう?」
「……はーい、そうでしたぁ。
お母様、ありがとうございまーす」
まだふて腐れ気味ながらも、お母様にお礼を申し上げた。
「わかればよろしい。はい、次はジャガイモの皮むきね」
と私の前に、ジャガイモが数個入ったボールが置かれた。
はぁ。今度こそ皮だけに集中しなきゃ。
私は気持ちを入れ替えて、ピーラーでジャガイモを撫でるようにして皮を剥き始めた。
だけど…………えへっ。
服のことを思い出したら、ちょっと元気出たかも。ホントに可愛いんだもん。
しかも――
(こういうのって、俊光好みなのよねー。あのコ、シンプルなのが好きだから)
って、お母さんが教えてくれたし。えへへー。
あーなんか、俊光君のことを思い出しただけで、ますます元気が出てきちゃったー。
「はーい、ジャガイモ一個目おーわりっ。二個目に突入でーす!」
お母さんの使っているまな板に、むきたてのジャガイモをポンッと置いた。
「ふふっ。やっと機嫌が良くなったわね」
そうです、お母さん。
俊光君のおかげで、機嫌が良くなりました。