俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
にしてもお母さんってば、どうしてそういう大事な情報を早く教えてくれなかったのぉ? 私今まで知らずに、花柄やフリルとかばっか着てたじゃん。まぁ、私自身がそういうのが好きだからなんだけど。
でも、ああいうシンプルなのも可愛いんだってわかって良かったー。何気に似合っちゃったりして。新しい自分発見! みたいな。
それに落ち着いて見えるから、三つ上の俊光君と一緒にいても釣り合うかもー。
えへへ、なんちゃってー…………
…………
て、いうか……
私って……兄ラブ過ぎる?
もちろん、お父さんもお母さんも大好きだけど、それとはまた違う気がする。
なんていうか……特別?
私……何でこんなに、俊光君が好きなんだろう?
皮剥きを一旦中断して「うーん…………」と腕を組んで考えてみる。そして、また手を動かす。
でもそれって……俊光君が良きお兄ちゃんで、私を今まで可愛がってくれたからだよね?
お父さんもお母さんも話してたじゃん。まだ小さかった俊光君が、『いもうと かわいい』って言いながら私の頭を撫でたり、
私を勝手におぶっては、近所の人にだけでなく、知らない人にまで、『ぼくの いもうとだよー』って自慢しながら歩き回ってたって。
はぁー……何回思い返しても胸キュンしちゃーう。
私って、なんて幸せな妹なんだろー。
それだから俊光君にばかり懐くんだよね、きっと。
兄ラブ過ぎてもしょうがないよねー。
……なーんて思い耽っていたら、
「菜子っ! ジャガイモッ!」
「えっ? ……あぁーーっ!」
また身まで削いじゃったぁー……。ジャガイモがビー玉みたいになってるしー。
「あんた、今日ダメだわ。キッチンから退場っ」
「はーい。ごめんなさーい……」
とうとうお母さんからレッドカードが出されちゃった。
はぁーもう。私ってば、なーにやってんだかだよぉー。