俊光と菜子のホントの関係
第28章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(後編)』
――菜子に『うぉりゃーっ!』と肌蹴させられた俺の浴衣も、俺が肌蹴させたままにしていた菜子の浴衣も、それぞれの下着も。全部脱いで・脱がせてで、あっという間にお互い全裸に。
早く先へ……と焦る気持ちを何とか堪え、菜子が『はい、どうぞ!』とハリキって渡してきた避妊具を、俺自身に装着した。
「菜子……」
「俊光君……」
布団の中で、生まれたまんまの体で抱き合う。
裸でこうしていると、昔、菜子とお風呂から上がったあと、服を着ないままじゃれ合ったりして遊んでいたことを思い出す。それでよく、母さんに『風邪引くわよっ!』って怒られていたっけ。
小さかった昔の菜子と変わらず、大きくなった今の菜子も、体が隈無く柔らかくて、ほんわかと温かい。
それが、全身にダイレクトに伝わってくると、懐かしくて落ちつくどころか……うっ、ヤバい。
まだ挿れてないのに。ただ抱き合ってるだけなのに。もう一つになれたと錯覚して、一人で勝手に果てそうになってしまう。
錯覚を振り切って、真下にいる菜子に意識を向けた。
赤ん坊並の無垢な表情で、俺をジッと見上げている。愛くるしくて、見ているとやっぱり頭を撫でたくなる。ていうか、今すでに無意識で撫でていた。
この菜子を一人置き去りにして、一人だけで果てるとか、ないから。
「菜子。今度こそ挿れるから」
自分のモチベーションを持ち直すべく、誓いを立てるように伝えた。菜子は、恥ずかしそうにモジモジしながらも、「うん」と小さく頷いて返してくれた。