俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
夕飯の時間になって、家族四人で和やかにカレーを食べていたら、
「……母さん。この人参、何でこんな薄っぺらいの?」
ギクッ!
私の右隣に座る俊光君に指摘されると、その犯人である私は密かに肩を揺らした。
そうっと横目で見たら、俊光君のスプーンには、ペラペラの人参がブラブラぶら下がっている。
うわぁー……。
とりあえず、私はひたすら黙ってよーっと――
「あぁ、それ? ぷぷっ……それはね、菜子・作なのよー」
いやーっ! あっさりバラされたぁー! 恥ずかしー!
「お母さんっ! 超余計ー!」
「あら。ホントのことを言ったまでよ? お母さんがやったんじゃないんだしー」
「まぁ、何だっていいだろ。味は美味しいんだから。はははっ」
私の前に座るお父さんは、ノーテンキに笑いながら言った。
お父さぁーん。優しいフォローをありがとぉー……うるうる。
「菜子。お前は一体どうしたら、カレーの具をペラペラに出来るんだ?」
俊光君が私に見せびらかすように、スプーンを近づけてくる。
「いろいろと考え事してたら、そうなっちゃったんだー……えへへ」
「ふーん。お前のことだから……本当は腹が減りすぎて、頭の中が空っぽにでもなってたんだろ」
と、俊光君は私をからかいながら、ペラペラ人参カレーを口に運んだ。
うぅ……いくら俊光君でも、そんなことを言うなんてあんまりだよー。
「そ、そんなんじゃないってば。
胸がDカップからEカップになっちゃったから、気落ちしてたんだよー」
「っ、ごほっ!」
俊光君、アンドお父さんが、同時にむせた。
「ちょっとー、菜子ったらぁ。あんた女のコなんだし、お父さんも俊光も一応男なんだから、そういう話はもうちょっとオブラートに包みなさいよねー」
お母さんは私を軽く諭してから、大口でカレーをパクリ。
「だって、ハッキリ言わないと、鈍感な二人にはわからなそうだったからー」
「ごほっ、ごほっ……そ、そういうところ、ホント母さんそっくりな」
俊光君がむせながら言った。
そう。私はどうも、ハッキリと言ってしまうところがあるんだよねー。