俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
――高校二年生。
「おーい、菜子ー。まだかよー」
ドアをドンドンとノックしてやり、菜子を煽る。
「あーん。俊光君、もうちょっと待っててよぉー」
そのセリフ、もう何回目だよ。部屋の前でずっと待ちぼうけ食らっている俺のことも考えろ。
「たくっ……お前が原宿で買い物したいっていうから、仕方なく付き合ってやるってのによー。貴重な日曜日を無駄に使うな。服なんて何でもいいだろう?」
「よくないもん! お出かけするんだからオシャレさせてよー!」
「ただの兄と出かけるだけなのに、オシャレとか必要か?」
「ひ・つ・よ・うっ!」
はぁあ。これだから最近の女子中学生はー。
そういや最近の菜子、なんか急に色気づいてきたよな。やたら髪型を変えたりとかしてさ。
もしかして、男でも出来たのか? なーんてな……
ん? 何か一瞬、モヤッとした?
あーあれか。可愛い妹が、他の男に取られたことに寂しく思う、兄の心境……ってヤツ。
まぁ確かに、ずーっと『お兄ちゃんお兄ちゃん』ってくっついてきた菜子が他の男のところへ行ったら、兄としては複雑かもな……
あ、違かった。菜子の場合は『俊光君俊光君』だった。
しかし、いつからだったっけ。菜子が俺を『俊光君』と呼び出したのは。
確か……