俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「じゃーん! お待たせー!」
うわっ、ビックリした! いきなりドアが開いたぞ。
はぁー。菜子のヤツ、やっと部屋から出てきやがった。人を散々待たせたクセにニコニコとしやがって。笑って許してってヤツか?
「たくっ、着替えに時間かけ過ぎなんだ……よ……」
菜子の姿を見た途端、セリフの語尾が自然と弱くなってしまった。
な……菜子?
「どう? 似合うー?」
「あ、あぁ……」
似合うというか……なんか、いつもよりすごく可愛く見える。
デコルテが見えるぐらいゆったりとしたグレーのカーディガンと、膝上のタイトスカートの、ニット系の上下セット。中に着ているのは白いレースのタンクトップ。脚には黒のタイツ。下ろした長い髪に、黒のキャスケットを被ってる。
花柄とかフリルとかの華やかな服装ばかりだったのが、今までにない――しかも、俺好みのシンプルなコーディネートに、
妹の菜子に対して……初めてドキドキしてしまった。