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愛が、はじまるとき

第1章 1

              10

 わたしは、あそこにキスしてもらうのが、あんなに気持ちいいものだとは、思わなかった。
 満が、優しくキスしてくれたからだろう。
 自分の声とは思えない、悩ましい声が出るのが、恥ずかしかった。
 わたしは、いままで、そんな声を出したことはなかった。
 満は、あそこのキスを、優しく、つづけてくれている。
 「もう、
  やめて」
 「どうして?」
 「へんに、
  なりそう」
 「なればいい」
 「恥ずかしいから、
  ダメ」
 「もっともっと、
  気持ちよくなって」
 「イヤ、
  イヤ」
 「気持ちよくないの?」
 「よすぎるの」
 「じゃあ、
  まだ、つづけるね」
 「イヤ、
  イヤ」
 イヤと言いながら、やめてほしくないと思っていた。
 自分の、その、矛盾した気持ちが、恥ずかしかった。
 恥ずかしいけど、気持ちよくて、どのくらい、あそこのキスがつづいたのか、わからない。
 満が、
 「里美さん、
  もう、
  入ったほうがいい?」
 と言ったとき、
 「うん、
  はやく」
 と、思わず言ってしまって、恥ずかしかった。
 それなのに、満は、
 「なにを、
  はやくなの」
 「はやく、お願い」
 「だから、
  なにを」
 「言えない。
  恥ずかしい。
  でも…
  ほんとに…
  はやく…
  お願い」

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