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愛が、はじまるとき

第1章 1

              12

 ゆっくりゆっくり動くけど、動きが大きくなってきたからだ。
 満の全部が、わたしの中を、優しく大きく、行ったり来たりするからだ。
 そして、動きながら、乳首にキスをしてくれる。
 吸うだけでなく、チロチロと舌で乳首を撫でるように。
 「もう、もう、
  わたし、
  へんになる」
 「なっていいよ、
  私が、抱いててあげるから」
 「こわい」
 「なにが?」
 「こんなに、
  気持ちよくなるのが」
 「もっと、もっと、
  気持ちよくなりなさい」
 「あぁ、
  へんになっちゃう」
 「もっと、
  強く、
  気持ちよくなりたいと、
  思いなさい」
 「うん、
  なりたい」
 「なったら、いい」
 「なりたい」
 「よく、
  言えたね」
 「なりたい」
 「なりなさい」
 「わたし、
  わたしで、なくなりそう」
 「大丈夫。
  私が、守っていてあげるから」
 「なりたい、
  なりたい」
 わたしは、唸るような声で「うーん」と言ったきり、なにがなんだかわからなくなった。

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