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愛が、はじまるとき

第1章 1

              4

 「私が、話してあげましょうか?」
 「そんな、
  そこまで、頼めません」
 「私は、女性を苦しめる奴は、
  許せないんです」
 「お願いするかもしれませんが、
  とりあえず、
  連絡を絶ってみます」
 「そんなことで、
  大丈夫ですか?」
 「わたし、ということではなく、
  『女』の部分だけの、
  わたしをみているみたいですので、
  連絡を絶ったら、
  そんなに、執着しないと思います」
 「里美さんみたいな、
  聡明な方が、
  そんな奴と…」
 「聡明じゃないからです」
 「大樹も、
  里美ちゃんは、
  頭いいんだよと言っていますよ」
 「学校の成績は、
  よかったからです」
 話をしているうちに、1時をまわってしまった。
 時計をみたわたしは、慌ててしまった。
 「困ったわ。
  タクシーだと、高いし…」
 「お姉さんのところは?」
 「こんな時間に行ったら、
  何をしていたんだと、
  聞かれます。」
 「じゃあ、
  里美さん、
  うちに泊まりませんか?」
 「えっ、
  そんな」
 「いい機会です。
  女性が、したくないとき、
  しないという、男もいるんだということを、
  実験してみませんか?」
 「でも…」
 「私は、里美さんを、
  とても素敵な女性だと思っています。
  セックスしたいと思っています」
 「えっ、」
 「そんなに、警戒しなくていいです。
  そう思っていても、
  里美さんが、したいと思っていなければ、
  なにもしません」
 「でも…」
 「そのかわり、
  下着だけで、
  一緒に、寝てください」
 「…」
 「それで、
  私が、なにもしなければ、
  なおさら、
  そういう男もいるんだと、
  思ってもらえるんじゃないですか?」

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