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愛が、はじまるとき

第1章 1

              5

 満はそう言うが、わたしは、すぐには返事しなかった。
 うまいことを言って、一緒に寝たら、ずるずるとセックスをしてくるんじゃないか、と思った。
 それでも、満のいままでの、とてもジェントルな態度に、信じてもいいかなと思った。
 下着というのが恥ずかしかったが、実験だと思えば、かえって下着だけになるほうが、いいのかもしれない。
 もしかしたら、下着もないほうが、と思ったくらいだ。
 実験なのだから。
 結果は、良かった。
 おずおずと、わたしが、満のとなりに寝ると、あまりからだを密着させずに、優しく抱いてくれて、
 「さあ、眠りましょう」
 「はい」
 「この状態では、
  すぐには、
  眠れないでしょうから、
  子守歌がわりに、
  里美さんの知らないような、昔話をしてあげます」
 と言って、屁こき嫁や吉四六ばなしなど、笑い話を話してくれた。
 でも、そんな話のあいだにも、セックスの話もしてくれた。
 セックスは、女性が気持ちよくなるためのものだ、というのを、くりかえしくりかえし。
 それを聞くたびに、彼が、いかに自分勝手なセックスをしてきたのかがわかり、もう別れようと、決心した。
 満は、わたしが言うのもなんだが、若い魅力的な女性が、下着だけで、同じ布団にいるのに、ただ優しく抱いてくれているだけだった。
 この人は、わたしに、魅力を感じていないのかなと、思ってしまった。
 でも、なにかの拍子に、満のあれが、わたしの足に触れることがあったが、そのとき、あれが大きく固くなっているのがわかり、すこし慌てた。

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