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愛が、いっしょに

第1章 1

         5

 「これからは、
  私は、伽耶さんと呼びますから、
  あなたも、徹と呼んでください」
 「ねぇ、
  セックスをするの?」
 「そうです。
  それが、一番確実に、
  心のブレーキを、外せるんです」
 「そんな」
 「大丈夫です」
 そう言いながら、徹は、わたしを、抱きしめた。
 わたしは、セックスをするのは、はじめてだ。
 「ねぇ、徹さん。
  わたしは、はじめてなのよ」
 「誰でも、
  はじめてはあります」
 「そうじゃなくて、
  もっと、ムードを考えてほしいの」
 「そうだ。
  音楽をかけよう。
  バロックがいいですね」
 「そうじゃなくて、
  好きだとか、
  愛しているとか、
  言ってくれないの?」
 「好きです。
  はじめて、研修会で会ったときから、
  伽耶さんが、好きでした」
 「ほんと?」
 「でも、あなたは、
  恋愛なんか、
  無駄だと言うから、
  恋愛の素晴らしさを知ってもらおうと、
  私なりに考えた方法です」
 「そうだったんだ」
 「はい。
  ふつうの方法では、
  伽耶さんは、
  のってこないと思ったんです」
 「そうかも…」
 「ですから、
  まず、
  セックスの素晴らしさを知ってもらおうと…」
 「いいわ。
  素敵なセックスをしてね」
 「いいんですか?」
 「なによ、いまさら。
  わたしは、あなたが嫌いじゃないし、
  一度は、セックスをしてもいいかも」
 「うーん。
  これは、強敵だ」
 「うふふ」

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