月が綺麗な夜は。
第1章 歪んだ二人
「いいツラだ…」
「煩い」
俺は辰馬との間を詰め、押し倒した。
「なあ、使いもんにならなくなる前に
早くくれよ」
腰に跨り、
窄まりに大きくなったモノを宛てがう。
深く息を吐き、辰馬の返答も待たずに
自ら挿入した。
「っう……はあッ」
「ッ…」
内壁を拡げる様にして、肉の塊が
深く入ってくる。
何度身体を重ねても慣れない圧迫感。
なんとも言えない快感が俺を支配した。
「アッ、んん…っ」
辰馬の上で腰を振り、醜態を晒す。
「アッ、辰馬っ…くっ」
静かな部屋には
俺の吐息と粘膜同士が擦れ、水音が
厭らしく響いている。
下からの蔑んだような視線が痛い。
「んっ、ああっ…なっあ、辰馬っ、
早く、動けよッ…ん」
すると、辰馬は少し溜息をつき、
俺の腰を掴み、熱い肉棒を下から乱暴に
打ち付け始めた。
「ア゛ぁっ、くっ…んアァっ」
「…っく」
「てめっ、何をそんなっ……んっああっ」
「……くっ、」
顔を歪めた辰馬が俺の敏感な場所を擦り始めた。
こいつも俺の身体を良く知り尽くしている。
「…お、いっ、てめぇっ…うッ…
はっ、あっ……
やめっ、いきなりは…ぁああっ」
「…好きじゃろ…ここ」
その一点を集中的に虐めていく。
「…お、おい、そこばっかりすんなっ…嫌だってッ」
「何が嫌じゃ、悦んどるようにしか見えんぜよ」
「…ちげェっ、それじゃすぐに終わっちまうッ」
「…わしは早く終わらせたいんでのぅ」
「…ふざけんなっアァっ、
まだ物足りねぇんだよっ、くっあアァっ」
最初から飛ばしてるせいか
辰馬の額には薄らと汗が滲んでいる。
終わりをを求め、めちゃくちゃに中を掻き乱し
俺を絶頂へと追い込んで行く。
俺はまだこいつと繋がっていたいのに。
こいつは俺を1ミリも求めちゃいない。
解っている。
そんな事はこの関係を持った時から
何度も思い知らされて来た。
なのに何故だ。
今更乾き切ったはずの生暖かい何かが
一筋、頬を伝った。