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月が綺麗な夜は。

第1章 歪んだ二人

-坂本side-







高杉と居た宿を出て快臨丸に戻り、風呂場で
身体を洗い、シャワーを頭から被る。

高杉に付けられた傷が沁みて、
先程の事を思い出した。



「……」


高杉が今日流したあの涙…
ずっと引っかかっていた。

あの時、高杉は銀時を好きだと、
だから身体で銀時を共有しろと。

わしも実際、高杉の奴は銀時を好きなんじゃろう
と思っていた。

だからあの時、高杉の出した条件を呑んだ。

だが、思い返してみると
毎度部屋に入ると、
高杉はいつも月を睨むように見つめていた。

情事中に呼ぶ名は銀時ではなく
わしの名だった。

早く終わらそうとするわしを
止めたり、優しくして欲しいと言ったり。
ずっと、わしを求めるような行動ばかり
取っていた。


いや、待て
それに、高杉はあの時…
銀時を好きだと……言ったか?

否、話をすり替えるように、
「だったらなんだ」と、そう言っただけだった。

今まで思いもしなかったが、
わしは、大きな思い違いをしていたんじゃないか

自意識過剰と言われればそれまでだが
高杉の好きな奴が、銀時では無く
わしと言うのなら、
銀時の話を聞いて嫌な顔をしたり
肉体の関係を持ち掛けたり
涙を流したり、
銀時を抱けないように跡を附けたりする
高杉の行動の全てに納得が行く。



「…………高杉」


















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