月が綺麗な夜は。
第1章 歪んだ二人
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「…おんしゃ、今何考えてた」
「…いや、なんでもねェ」
「……」
「…ほら、さっさと始めようぜ」
「……」
着物を少しはだけてみせると、
辰馬は俺に近づき組み敷いた。
「……すまん、銀時」
辛そうにまたその名前を呼ぶ。
俺をこれから抱こうとしているのに。
最中でさえその名前を何度も何度も。
銀時、銀時、銀時、、、
気に食わねぇ、
幼い頃から共に育った奴が
こんなにも憎い存在になるとは、
思いもしなかった。
俺はただ、辰馬が欲しいだけ。
身体だけじゃなく、心まで手に入れることが出来れば
こんな風に憎むこともなかっただろう。
「…お前ェが悪いんだぜ…」
その場にいない奴に向けポツリと呟いた。
その言葉を聞いた辰馬が
胸元に手を滑り込ませる。
「…ン…」
「…お互い様じゃろ」
ほら、またこいつは…馬鹿にも程がある。
たが、気づかなくていい。
こいつが気づいてしまえば、この関係すら
終わってしまうだろう。
辰馬の手が胸から離れ、着物を脱がして行く。
言葉も発さず、
俺も手を伸ばし服を脱がして互いが露になる。
「早く、キス」
その言葉で俺の首に手を回し、
辰馬がキスをする。
「…っん、ふっ…んんッ」
荒々しい、愛情なんて無いと分かる。
それでも、
銀時が知らないところで、俺を抱く。
辰馬の唯一の秘密を俺だけが知ってる。
この時だけは少し優越感に浸ることが出来る。
「……」
首筋へと、唇が降りてきて
胸の突起を噛じった。
「…ッ」
痛みに顔を歪める俺を無視して
愛撫を卒無くこなす。
「もう身体火照っとる」
「…う、るせえ…アッ、ちっとは、、
優しく出来ねえのか…ッ」
「…優しくする意味あるがか」
低く、冷たく、囁く。