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Fake it

第2章 Yellow love

【翔side】

「待った?」

声をかけると、そのままの姿勢で頭だけが小さく左右に振れる。

見たことがある服だなと一瞬思って、先日の収録であの人が着ていた衣装であることに気がついた。

ふふっ(笑)。
丸ごと買い取ったな。

店に条件をつけた手前、らしくなく服装に気を遣ったらしい。
ご丁寧にキャップを後ろ前に被って髪型を隠している。

やれやれ、ここまでされたら、こっちも乗ってやろうじゃないか。



俺は笑いを噛み殺しながら、静かに背後に近づいて、丸めた小さな背中に寄り添うようにしゃがみこんだ。

背中から抱きしめて腕を腹に回すと、ビクッと肩をすくめる。
対して、一つに割れた腹筋が柔らかくへこんだ。

「誘ってくれて嬉しかったよ…」

耳元でわざと甘ったるく言ってやった。

「今日は帰さない…」

うへぇ、とも、ぐひっ、ともつかない、くぐもった声が一瞬上がって。

「気持ち悪いいいっ!!!」

ニノが叫んだ。

「だはははっ!!!
あはははははっ!!!!」

あ~、ウケる(笑)。

参ったか(笑)。





「まさかアナタ、
あの人に、いつもあんなコトをしてるんじゃないでしょうね?」

上座に座らせてもらって、お互いに胸の前に杯を掲げて乾杯した後、ニノは俺に言った。

色白の首筋と耳が、まだ赤い。

「えぇ?」

すっとぼけて笑ったまま訊き返すと、ニノは、愛嬌があり過ぎて憎らしくなるような作り笑顔で明るく言う。

「うん、だから、
今日はそういうのナシね
そういう下らない誤魔化しは時間の無駄だから」

「…………」

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