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Fake it

第2章 Yellow love

【翔side】

俺は笑顔を作った唇の形をキープしながら、黙ってニノを見返してた。
どうか訊いてくれるな、と願いながら酒杯を空ける。

するとニノは、これもネタみたいに、突然わざとらしい無表情になって、俺を責めてることを無言で伝えてきた。

「なんだよ」

怯えさせないように意識しながら笑いかけると、素の顔に戻って小さく溜息を吐く。

薄茶の瞳が潤んでいるのを隠すように、目蓋を伏せて俯く姿は、俺に懐かしい少年の頃の彼を思い出させた。

昔は、俺が感情に任せて大きな声を出したり八つ当たりすると、怯えることがあって。

それを悟られないように、ひきつりながら、必死で何でもないような顔を作っていたっけ。

たまに昔を思い出すことがあると、可哀想なことをしてしまった、と申し訳ない気持ちになる。

共に過ごした年月、俺はあの人から少しずつ学ばせてもらった。

穏やかに他人と接するやり方や、自分とは違う相手を受け入れる姿勢を。

若さ=馬鹿さ、を地で行っていた頃を知られているから、今更メンバー相手にカッコをつけても仕方がない。
嘘をついても見抜かれてることぐらい、わかってる。

それでも傷つけたくないんだよ。
お前だって、ずっと、あの人を想ってる。

俺と智君が、メンバーにも隠して長年関係を続けていることを、俺の口から言える筈がないだろ?

あの人だって、絶対に言わない。

ニノはもう、あの頃の少年じゃないけど。

どんなに生意気ぶっても、ひねくれぶっても。
俺達にとっては、いつまでも可愛い弟みたいなもんなんだよ。

「翔ちゃん、
多分、オレと同じことしてるんでしょ?

頭の良いアナタが写真を撮らせたり、
好き放題に匂わせをさせて…

全部、あの人のため
あの人が二度と傷つかないように
目をそらせておくためのFakeなんだ」

薄茶の瞳が、じぃっと俺を見てた。









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