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Fake it

第2章 Yellow love

【和也side】

「あの人のため、
ってのが言い過ぎなら…
ARASHIのため…
それなら頷いてくれるでしょ?」

答えるつもりが無いのを見て取って、オレは独り言めかして口に出した。

翔ちゃんは優しい顔でオレのことをチラッと見て、少しだけ口角を上げる。

手酌で酒を注ぐ姿は落ち着いていて、溢れさせるような不調法もない。

全部、確信的にやってるから。
今更心が乱れたりしない。

そういうことだ。

オレは子供みたいに翔ちゃんの気持ちを確かめようとした自分が、ちょっと恥ずかしくなる。

「ニノ、この魚、美味しいよ」

食べる時に見せる嬉しそうな顔。
あの人の大好きな、翔ちゃん。

「うん、食べる…
ここ、いい店だね」

箸を取ったオレに、今度はハッキリと笑いかけてくれた。
あの人の大好きな、翔ちゃんの笑顔。

「布団は敷いてなかったけどね」

「ぶはっ!
敷くか!!(笑)」



オレも、翔ちゃんも、隠そうと思ったら勿論、大抵のことは隠せる。

だけど、大人になっていくに従って、わかってきた。

自分のことを完璧に隠してリスクを減らそうとしたところで、それだけではグループを守れないんだ。

年々巧妙になっていくFake newsの数々。
マスコミにとっては長らく聖域であったはずの、やんごとなき御一族までが、餌食になるようになって既に久しい。

びっくりするんだけど、仕掛けてくる方は、本当に何とも思ってない。
効果的な手段だから使ってるだけで。
ほんとーに、何とも思ってないんだ(2回目)。

自分たちがでっち上げたニュースによって、誰かの人生が狂っても。
恬として恥じない。

俺なんかは、もうマジで、あいつら死ねよ、と思うね。



「良心を持たないやつらに、
誠実に付き合ってやる気はない」

翔ちゃんが静かに言った。

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