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Fake it

第2章 Yellow love

【和也side】

俺は黙って頷く。

オレも翔ちゃんも、そう切り捨てて考えるし、実際にそう行動出来る。
そこに葛藤や罪悪感は持たない。

毒を吐いて、くさってみたところで、大切なものは守れないんだ。

だから、考えた。
こっちに注目を集めておけばいい、って。



「みんな、優し過ぎるんだよ
どこかで良心がある、って信じてる
あいつらには、そんなもの無いのに」

オレは翔ちゃんと同じスタンスでいたことがわかって、嬉しくて。
つい、日頃から思ってることを言葉にしてしまう。
口が尖ってるのが自分でわかる。

あの人は切り捨てないから。
相葉さんもそう。

Jだって、あんな真面目な人はいない。
知らんふりで我意を通せばいいのに、そう出来ないから標的にされる。

「今更口に出すのも野暮だけど…
20周年だから、何があってもおかしくないし
翔ちゃんとはすり合わせをしておきたかったんだ」

こんな格好までして、我ながら子供じみてるとは思うけどね。

結局オレは、昔からずっと、この人を頼ってるんだろう。

なんたって、食った後のゴミを片付けろ、っていきなり怒鳴りつけられたんだ。
自分と同じ子供なのに、そんなことを本気で言う奴が居るとは思わなかった。

「安心した?」

翔ちゃんが笑いを含んだ声で、揶揄うみたいに軽く言う。

「ふふっ、うん。」

「なんだよ(笑)」

「なんも(笑)」

ちっちゃいくせに、威勢が良かった翔ちゃんを思い出しただけだよ(笑)。


「翔ちゃん、あの人は、気づいてないよ?」

「…………」

「きっとFake newsだろうとは思ってるんだろうけど
確信が無いから、
いつも心配そうな顔してる」

ずっと不安にさせておくつもりなの?
って訊きたいけど、訊けない。

二人のことだから。

翔ちゃんは、酒器を空にすると、なんだか淋しそうな顔でオレを見た。

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