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Fake it

第2章 Yellow love

【和也side】

「ニノ…政治家の寿命って知ってる?」

「え?」

「長生きするんだよ、あの人達(笑)
欲の分だけ長生きする
順番待ちの世界だから、
自分の力を発揮出来るようになるのが遅いだろ

つまりさ、デビューするのは何歳でも構わないんだ
むしろ遅い方が人間として成熟した印象を与えるから票を集められる

若いうちにフレッシュな魅力、とか言って引きずり込むか、
でなかったら壮年になってから、満を持して、って売り出す

……ウチの妹と弟にも、既に声がかかったことがある」

は?

「嘘でしょ?」

「勿論、二人とも断ってたけどね(笑)」

ふふっ、と翔ちゃんは楽しそうに笑った。

お父さんなら納得だけど、妹さんにも弟さんにも声がかかってるなんて。

「じゃぁ、翔ちゃんにもスカウトが来てるじゃん」

「うん(笑)」

オレが驚いてるのを楽しんで、ウケて笑ってるみたい見えるけど。

オレは知ってる。
この人がこういう笑い方をするときは、腹の中ではむしろ怒ってるんだ。

「そんなものに目をつけられたら
大切なものを守るのは生半可な事じゃない
親父が生きているうちは表立っては何もされないだろうけどね…

大切な人が巻き込まれないようにするには
長いスパンで煙に巻くしかないんだ

でっちあげや捏造で周りからジワジワと攻撃された時、
俺本人が発言したことを、当たり前に信じてもらえるだけの、実力をつけておかないと」

「…………」

「俺、思うんだけど……
いずれわかることだよ
俺達がどれだけARASHIを大事にしていたか
どれだけ誠実に愛していたか

その時その時では、理解されないだろうけど
何十年も経って形が形を成さなくなったころには
俺達それぞれの生き方が結果として残ってる

あの5人は、こう考えてたんだな、って
誰の目にもはっきりわかる

俺たち自身が生きてるうちには理解されないかもしれないし
不誠実だって言われるかもしれないけど、ね」








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