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Fake it

第5章 Red heart

【翔side】

「翔君は知らないかぁ
実はみんな仲間内でやってるんだよ」

って、あの人は平然と言った。

女の子と下手に関係すると後が面倒だし、デビューが噂されるようになるとみんな内輪で 欲 を 解消してるんだよ、って。

「外の人とやるより、ずっと安心だからね。
知らなかったの?」

「え、あ、そ、う、なの?」

驚愕のあまりイライラが吹っ飛んだ俺は、さぞかし間抜け面だったんだろう。

智君は可笑しそうに笑って続けた。

「あ、でも
真面目な翔君には気持ち悪くて出来ないか?
んふっ、だよね(笑)
ごめんな、やっぱ無理しなくていいから」

俺のベルトを外しかけてたあの人の手が止まったから、俺は慌ててそれを握って言い返した。

「なんで?
俺、別に平気だよ、やろうよ」

必死に嘯いた。
子供扱いされたと思って、ムキになったんだ。

あの頃の俺は、真面目とか優等生とか言われるのに過敏になってて。
面白みがないヤツ、って思われるのが嫌で強がってた。

そんなことを言われたら当然乗るよね。

若いって、本当にバカだ(2回目)。

つまりは、俺の暴走を止めようとしたあの人の策にまんまとハマったってわけで。

昔からあの人の方が俺より何枚も上手で。
本当に「平然と」仕掛けてくるんだ。





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