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Fake it

第1章 2018 秋

【智side】

「甘いね…」

長い キ ス の後で、翔君が言う。
オイラの 舌 から移った香りと味が、翔君の吐息からも漂ってくる。

「…ん…あま…」

今夜の翔君は、ちょっと 愛 撫 が 執 拗。
さっきから確かめるみたいに身体じゅう 撫 で ま わ さ れ て、舐 め ら れ て て。

もしかして例のコイビトと上手く行ってないのかな…。

わかんないけど。
まだ付き合ってるんだろ?

それとも、何かオイラが不安にさせてる?

オイラがもうすっかり 高 ぶ っ て る のを知ってるくせに、一番触れて欲しいところには、なかなか 触 っ て くれない。



待ってるのが辛くなってきて 腰 が 動いても。
声 が 出 て も。

付 け 根 にばかり 口 づ け られて。

肌 を 吸 い 上 げ られるたびに 身 体 が 反りかえるのに。
なだめるみたいに 舐 め て くれるのは、違うところばかり。

いい加減に焦れてきた頃、身体を起こされて、向かい合わせに座らせられた。

膝 の 上に乗せられる。

フェイス・トゥ・フェイスで覗き込むみたいに、翔君がオイラの目をじっと見つめてた。

その顔が、なんだか淋しそうで。

「しょ…ど、した…?」

行 為 が 始まってからだんだんと頭がぼやけてきてて、上手く言葉にならない。

それでも翔君には伝わったみたいで、大丈夫だよ、って言うみたいに小さく首を横に振った。

長い キ ス の後で、甘いね、って言う。



「くち、開けて」

オイラが深く考えずに 口 を 開 け る と、翔君は腕を伸ばしてテーブルの上からマスカットを一粒ちぎった。
優しい顔のままオイラに命ずる。

「もっと大きく開けて」

言われるままに開けた口の中に、大粒の実が入れられた。

「噛んじゃ駄目だよ」

え?

なんで?と思ってるうちに、翔君の手がオイラの 中 心 と 自分のを一緒に握って、上下に 扱 き 始めた。

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